近年、コンシューマゲームでもゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド/ティアーズオブザキングダム、ポケットモンスター スカーレット・バイオレット(以下、ポケモンSV)といったゲームが増えてきた。これは、コンシューマゲーム機でもそれなりのスペックを持つようになってきたことや、オープンワールドのゲーム自体が増えそのシステムに対する開発技術が上がってきていることが理由として考えられる。
そんな中で、オープンワールドのRPGのバランス調整について思ったことがあるので今回の記事を書くことにした。
※なお、ポケモンSVを批判する意図は全くありません。
ポケモンSVでの1つの問題点として、オープンワールドであるにも関わらず各地の敵のレベルが決まっているため探索をしていると突然敵のレベルが強いエリアに入ってしまうという問題がある。 その程度ならRPGにはよくある話で、迂回して進めば良いだけの話だが、ポケモンジム攻略という目的があるため迂回ばかりしているわけにも行かず、且つそこが本当に自分が次に向かうべきエリアなのかどうかわからない場面は存在する可能性がある。 また逆に、高レベルのジムを先にクリアしてしまって後半に戦う敵が弱すぎるということも起きる可能性はある。
このように開発側が意図していない順番でエリアを進んでしまうことでプレイヤーと敵のレベルバランスが崩れてしまうということが起き得た。
この問題をうまく解決している一つのやり方が「レベルスケーリング」あるいは「レベルシンク」と呼ばれるシステムである。いくつかのオープンワールドゲームやMMOで取り入れられているが今回は、原神の「世界ランク」を例に挙げて紹介する。
レベルスケーリングとは
レベルスケーリングは一言で言えば、世界中に存在する敵の強さがプレイヤーの進行度やキャラクターのレベルによって自動的に変わるというものである。
ゲームによっては、自分で制御不可能であったり、特定のエリアだけに限ったものだったりする。このシステムは一部のゲームでは採用されているが、私が思うにまだそこまでメジャーなシステムではないと思う。そもそも、ゼルダの伝説のようなキャラクターのレベルが存在しないゲームの場合は必要にならないようなケースもある。その点においては、オープンワールドRPG開発というのはバランス調整の難易度が高いと言えるかもしれない。
今回例として挙げる原神のレベルスケーリングは「世界ランク」というもので管理されている。これはプレイヤーのランクが一定に達すると世界ランクを1段階上げることができ、それに応じて世界中の敵が強くなるが同時にレアアイテムのドロップの可能性が高まるといったメリットがある。 逆に、世界ランク上げたあとで敵が強すぎると感じる場合は自分で下げることも可能になっている。 世界ランクを上げたあとでさらにプレイヤーのランクが一定まで上がると、世界ランクもさらに次の段階へ1段階上げることができる。
もちろん、プレイヤーのランクが一定に達していない状態で世界ランクを上げることはできないので、始まったばかりの状態から強敵を倒して一気にレベルアップ!ということはできない。
ポケモンSVにおいては、例えばジムバッジの数に応じて敵が強くなっていくような形でレベルスケーリングのシステムを取り入れることができれば、どこから探索しても敵とのレベル差に困りにくいということが実現できるかもしれない。 もちろん、自分自身で段階を変更可能にするかどうか、特定のエリアだけにするか、などは要検討だ。特に、終盤に攻略することを意図しているエリアはレベルスケーリングさせず高めのレベル設定をしておくという手もある。
こういった具合にプレイヤーがより快適にゲームを進行できる仕組みをポケモンに限らず新作のオープンワールドRPGでは取り入れてほしいところだ。
余談となるが、ディアブロ4というオープンワールドRPGにおいてもレベルスケーリングのシステムがあるが、こちらはさらに手の込んでおり自分一人だけでなくマルチプレイヤー間においても自動でうまく調整される仕組みが導入されているようだ。[こちら]でインタビュー記事が公開されているので興味がある人は見てみてほしい。